9月入学に対して思うこと
先日、新型コロナウイルスの影響によって
余儀なくされた外出自粛期間が、ちょうど一か月を迎えたわけですが、
その期間も延長されましたね…
その影響により、小学校、中学校、高校、大学と
学生はこの期間は学校もなく、やることがなかった人が多いのではないかなと思います。
そんな中、入学や進学の時期を通常の4月から9月にずらす、いわゆる9月入学
というものが話題になっています。
「失われた休校期間を取り戻したい」そんな現役高校生の思いを発端に議論を呼ぶようになったのがこの話題です。
結論から言うと僕はこの9月入学に反対です。
理由はいくつかあります。
1つは学習の記憶が消えてしまうからというものです。
突然ですが「エビングハウスの忘却線」というものを知ってますか?
これはドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスという人が発表したものです。
エビングハウスは、無意味な音節を記憶し、時間と共にどれだけ忘れるかを数値化しました。
この表は時間と共に、どれだけ記憶したことを覚えているかを示しています。逆にいえば、どれだけ忘れるかということも一目瞭然です。
曲線を見ると、記憶してから1か月後には覚えたものの21%しか頭の中に残っていないということになります。
これを考えるとどうでしょう?
僕は、人間とは本来、覚えたら忘れる生き物だと思っています。
9月入学になるということはつまり、通常は学校のある4~8月の期間をやることもなく思考停止したまま過ごすということです。
3月まで培ってきた知識をその期間に保ってられるかは果たして疑問ですね…
2つ目は学校はつながりを保つ役割があるからという理由です。
今の期間、学生の学習度や知識量が下がっていくことも大いに問題ですが、それ以外に人間関係の問題もあります。
学校が休校になっているため、学生は必然的に友達や知り合いに会う機会は奪われています。
学校が人間関係の主となっている学生にとってそれはきついことだと思います。
これはBenesse教育研究開発センターが文科省の委嘱を受けて、「義務教育に関する意識調査」を行った時のものです。
その中でもこれは「学校教育で身につける必要性が高い能力・態度」「家庭や学校以外の場で身につける必要性が高い能力・態度」について、
保護者、学校評議員、首長(知事、市区町村長)の意識や考え方がよく表れたものとなっています。
これを見るとやはり学校とは単に勉強をするためだけの場所ではなくて、
人間関係を育む場所でもあるということが分かります。
大げさかもしれませんが、学生にとっての学校は生活のすべてであり、
それが9月まで全く遮断されていたら、それこそ悪影響を及ぼすのではないでしょうか。
3つ目は準備がすごく大変だからという理由です。
3つ目にしてすごくシンプルでアバウトな理由が来たと思うかもしれませんが、
実際、今年からこの9月入学を導入しようと思ったら、いろいろな準備が必要になります。
例えば、カリキュラム編成。
4月からといううのと、9月からでは祝日の数や長期休みの関係など、様々な理由で授業数も変わってくるでしょう。
そうなるとその学期で扱う題材も変えなくてはいけませんよね。
(歴史とか、江戸時代い長いから、来学期やろうみたな)
あと、家庭によって学力の差や環境の差が出てしまうという懸念があります。
比較的にお金に余裕がある家ならばオンライン教材や参考書などで勉強を進めることができます。
しかし、生活を切り詰めてやりくりしている家庭などでは、そのような万全な環境を整えるのは難しいでしょう。
最後に、
僕は主に4つの理由で9月入学という制度を今年から導入することには反対です。
皆さんはこの問題についてどんな意見でしょうか…